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就活
コラム
企業の仲をとりもつ
オー・ジー株式会社[学部卒/営業]
業種[化学系商社]
 化学品専門商社のオー・ジー。有機、無機を問わず多彩な化学製品を国内外で取り扱っている。化学産業の基盤が、石油化学を中心としたものから、機能性を重視したファインケミカル型の製品が増加する傾向にある中、機能を活かした製品作りに、化学品専門商社の果たす仲介者としての役割は従来よりも重くかつ多様にならざるを得ない。
 この春で入社5年目を迎えるTさんは、大阪の大学で触媒化学を学んだ理系出身の商社マン。現在の仕事の中身、今後の抱負などを聞いた。





グローバル化真っ只中
現在、取り組んでいる仕事の中身を聞かせてください。

T 営業本部に籍を置き、主にファインケミカルを扱って、担当しているお客様のフォローアップを行うルート営業となります。メインとなるのは、自動車の内装塗料や建築外装塗料、トナー用樹脂、電子部材向け接着剤などを製造する化学メーカーです。同社に、溶剤や樹脂、添加剤など70商品・200種におよぶ幅広い分野の製品を、国内外問わずに仕入れて販売しています。
 この他にも担当する企業は多く、30~40社になると思います。扱っている製品も、塗料関連以外にも、医薬品中間体など範囲も広がってきています。

化学産業のグローバル化がここ10年ほどで急速に進展しています。商社では、それ以前からそれを前提にビジネスを展開しています。

T 確かに、私のメインのお客様に納める製品の半分は海外からのものになっています。ファインケミカルを担当しているので、医農薬中間体などを扱うことも増え、それとともに海外メーカーの割合も徐々に拡大しています。
 この春から、部署を異動して、主にバルクの化学製品を担当することになります。これまでのファインケミカルとは違って、動かす製品の量が、1ケタも2ケタも違う大きなものになります。10トンのタンクローリー数台分の製品をお客様に納めるという世界です。この4年で培ってきた経験を基礎に、心機一転頑張るつもりです。新しい会社の方にお会いして、新しい仕事に取り組めるのが楽しみです。

学生時代は、どんなことを研究していたのですか。

T 触媒開発の研究をしていました。具体的には、MOF(多孔性金属有機構造体)という有機触媒を製造し、その触媒を用いた不斉選択的有機反応の開発に取り組んでいました。MOFは、金属イオンと有機配位子を組み合わせることで、様々なサイズや形状の細孔を作ることができます。それらさまざまなMOFを使って、最終生成物である医薬品原料の収率アップを目指した製造プロセス開発を行っていました。最後の1年間は、月曜から土曜日まで、朝9時から夕方6時まで、研究室にこもりっきりという生活。指導教授に魅力を感じて入った研究室でしたが、よく頑張れたと思います。



人とふれあう楽しさ
研究に従事する仕事ではなく、商社を選んだ理由はなんですか。

T 化学に関わる仕事をしたいと考えたのですが、研究室にこもりっきりになるのもなぁ、というのが偽らざる気持ちでした。人と接するのが好きな性分で、それを犠牲にする気にならなかったのです。商社であれば、さまざまな人と触れ合う機会が多いと思い、この世界に入りました。





学生時代の知識が活きる
学生時代の知識が活きる
会社に入る前に考えていた職場のイメージと、実際では大きな違いはありましたか。

T 商社マンは、メーカーの営業マンとは異なり、多様な製品を取り扱うため、浅くても幅広い知識が必要とされると考えていました。実際、取り扱う製品の数は膨大で、対象となる分野も幅広く、それに対応するだけの知識が必要でした。しかし、相手先との面談では、技術的な話になるため、販売する製品の詳細な情報も必要とされ、幅広いだけでなく深い知識も必須であることを知らされました。このような時に、学生時代に得た化学の知識が大いに役に立ち、相手先が求める製品やものを正確につかむことができると実感しています。

商社マンとして、ほかにも何か、必要というか大切な役割はありますか。

T 商社は、品物を納入する会社、その品物のメーカーや販売会社、双方の間に入る会社ですが、仲介者として取り次ぐだけでなく、間に立って調整することが必要とされます。そのためには、絶えず足を使って双方の方々と面談しておくことが必須。パソコン作業でできることもありますが、なるべく外を回るように心がけています。そのあたりは、自分なりのやり方を作っていくことが大切だと思います。

今、活きているな、と感じる学生時代の経験はありますか。

T 飲食店のアルバイトで接客の経験をしていたことです。営業として働いている中で、いかにお客様に納得して品物を買っていただくかということを意識しています。このような意識は、学生時代のアルバイト経験でお客様と接する中で、経験として得た様々な知識が活きているなと感じています。



自分の軸をずらさない
就職活動の時に、自己PRなどこうしておけばよかったと思うポイントはありますか。

T 企業に気にいってもらうことを意識しすぎて、その企業の会社方針などに迎合したような自己PRを無理に作っていたこともありました。それよりは、自分がどのような軸をもって会社に入りたいのかを語れると良かったのではないかと感じました。その軸を持って企業に入社することで、具体的にどのような貢献ができるかをアピールでき、より説得力があると思います。

職場での1日のスケジュールはどのようなものですか。

T 朝、通勤途中でメールチェック、職場についてメールへの返信や電話対応をこなします。それらが終わると、仕入先との価格の相談などを社内で行い、サンプルの郵送や発送をします。午後は、顧客との面談や情報収集などで社外に出て、夕方、戻ってきて面談記録の作成や翌日以降の面談に備えた準備をして退社。これが、平均的なスケジュールですが、外回りを大切にするようにしています。




地道な努力の積み重ねを
今の仕事で感じるやりがい、これからの目標などについて聞かせてください。

T 商社は自社商品というものがありませんが、困っているお客様に対して、ニーズに合わせて様々なメーカーの多彩な製品を紹介することができます。自分が必死に探した製品を紹介することで、「本当に助かった」と感謝していただけることにやりがいを感じます。以前、あるメーカーの担当者の方から、「販売先はないか」と言われて、探して感謝されたこともあります。そのような時には、やったという充実感とやりがいを感じました。
 今後は、商社の営業マンとして、もっとお客様に寄り添った営業を心がけ、素早く、的確な対応ができるようにしたいと思っています。売り、仕入れなど多様な付き合いもできるようにしたい。この積み重ねが、売り上げにも好影響を与えると信じています。営業は何といっても数字が命です。地道な努力の結果が、数字に結び付くと信じています。大変ですが、面白みもあります。

この仕事を希望する学生に向け、今頑張っておくポイントがあれば教えてください。

T まずは、情報収集のくせをつけておくことです。商社は、いかにお客様が必要な時に、必要な情報を引き出せるかがポイントになるからです。日頃から、新聞を読むことや、色んな人に話を聞くことで、話題を知り、情報を集めるくせを付けておくべきです。特に、人の話を聞けるようになるかは大切で、人とコミュニケーションをとるには欠かせない要素だと思います。
加えて、語学力をできる限り磨いておくことです。当社も含め、商社はグローバル化を強力に進めています。実際に、当社でも海外取引が非常に多くなっています。また、社内でも海外の人材が増え、現に、私の職場でも2割が海外の方です。その人たちは日本語も堪能なので、コミュニケーションもとれていますが、我々に語学力があるに越したことはありません。学生時代から語学力を磨いておけば、即戦力として、企業からより欲しいと言われる存在になれると思います。



【文責:(株)スプラウト 伊藤克人】