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就活
コラム
「商社」と「ものづくり」二つの舞台で活かせる化学の力
三谷産業株式会社[学士卒/研究職]
業種[総合化学/医薬品/農薬/ファインケミカル/無機化学/電子材料/環境/食品化学/化学系商社]
「先輩インタビュー」第十五回では、化学品、空調設備工事、情報システム、樹脂エレクトロニクス、住宅設備機器、エネルギーの6つの事業を複合的に組み合わせて製品やサービスを提供する『商社とメーカーの複合体』の三谷産業株式会社。そのケミカル事業部 ライフサイエンス営業部で活躍されているIさんにお話を伺ってきました。




「お客様が実現したいもの」を形にするために・・・
「お客様が実現したいもの」を形にするために・・・
Iさんは、三谷産業へご就職されて何年目になられますか? 

 2007年入社ですので13年目になります。

Iさんが現在所属されている部署では、どの様なお仕事をされているのですか? 

 今はケミカル事業部のライフサイエンス営業部という部署に所属しております。当社のケミカル事業部の仕事は、主に商社的なものになります。私が所属しているライフサイエンス営業部は食品素材及び食品原料等の輸出入と機能性食品原料等の受託製造、サプリメント原料や飼料原料・飼料添加物の販売業務を主に行っています。

輸出入業務と受託製造、飼料等の販売ですか。 

 はい。その受託製造も、国外で製造を行って日本へ輸入するケースと国内で製造してお客様へお届けするケースの2つの形があります。受託製造の案件の多くが新たに開発する品目になり、お客様が実現したいものを一緒に創りあげるというイメージです。三谷産業はベトナムに子会社がありますので、そこでものづくりも出来ます。また、国内でパートナー企業様の協力を得ながら製造する事も出来るので、お客様のニーズに幅広く対応する事が出来ます。

Iさんは学生時代にはどのような分野を専攻されたのですか? 

 分野としては応用化学科で、キチン・キトサン酸の分解に関する研究など機能性素材について学んでいました。

まさに今の業務にも通じるものですね。そうした点も含め、今の業務で感じるやりがいなどは、どういったところにありますか? 

 受託製造で携わる案件の多くは、お客様が実現したいものはラボスケールでは出来ています。しかし、大規模スケールでの商業化に漕ぎ着けず、悩んでいるというものが多いんですね。それに対して様々な解決方法を一緒に検討して商業化を実現するところに、やりがいと達成感を一番感じますね。

なるほど。たしかに自分が携わったものが社会に出るのを目にするのは、大きな達成感がありますよね。 

 そう思います。

逆に、業務の中で大変だと感じるのはどのようなところですか? 

 やはりラボスケールでの実験と大規模製造では、様々な面で大きく異なる点が大変なところですね。

スケールの違いですか。 

 ラボスケールですと、液体を取り出すのはフラスコを傾ければ済むことですが、大規模な実機になるとそれすら大変な手間のかかる事になるんですね。なので、想定外のトラブルもよく起こり、ここに大変さと難しさを感じます。

Iさんの携わられている業務では、ものづくり以外の面もあると思いますが、そちらでは如何でしょうか? 

 ものづくり以外の面では営業の仕事になります。営業でありながら、化学の研究開発について分かる者としてお客様と話が出来るので、お客様がどのような課題を抱えているのかもある程度理解できます。その解決方法を一緒に考えて提案できることがやりがいに感じる部分だと思います。

営業のお仕事は、新規開拓が中心ですか?それもと既存のルート営業が中心ですか? 

 どちらもありますね。既にご依頼を頂いて開発を進めているお客様と調整を進めながら、同時に、新しいお客様の所にも伺い抱えている課題のヒアリングと解決方法の提案を行っています。

新規開拓ですと、タイミングなどもあると思うので難しそうですね。 

 そうですね。頑張ってもなかなか結果につながらない時も当然ありますので、そういう面では大変さを感じますね。





就職活動時に気づいた「商社の魅力」・・・
少し話は変わりまして就職活動についてお伺いしたいと思いますが、Iさんが学生の頃はどういったことを軸に企業探しなどをされましたか? 

 就職活動を始めた当初は、化学系研究職の募集を中心に企業探しをしていました。ですが研究職の採用は基本的に院卒が中心でした。私は学部卒で、しかも研究テーマが決まる4年生になる前に就職活動が始まりましたので、なかなか難しい就職活動となりました。そうした中で化学系の商社というものを知り、選択肢の一つに加えることになりました。

化学系商社に関心を持ったポイントはどのあたりにありますか? 

 メーカーの研究職ですと、一つのテーマを与えられてそれに取り組んでいくという形になり、他の事をするというのはなかなか難しいと思います。しかし、商社ですと色々なテーマに触れることが出来るという点がとても魅力に感じました。

そこの部分の幅広さというのは、確かに商社の魅力と言えますね。 

 そうですね。

そうした商社の魅力については、どのあたりで気が付かれましたか? 

 就職活動をしていた当時は、ホームページに書かれていた事業内容の紹介などを見て、関われる事業の幅広さを感じていました。ただ入社してみますと、その幅広さや深さは更に大きかったなと思いますので、これは実際に働いてみないと分からないことだと思いました。

ちなみに今のお仕事について、その就職活動時にホームページなどの情報から思い描かれていたイメージと、実際の現場でのお仕事の実像に違いなどはありましたか? 

 そうですね、取り組める業務の幅広さなどの面では、思い描いていた方向性との違いはありませんでした。しかし、昔気質といいますか、社会人としての厳しさをもった会社であると、入社した当時は感じました。

社会人としての厳しさ、ですか。 

 事業としての幅広さがあり、色々なことに取り組める環境ではあります。ただし、入社したばかりでまだ何もわかっていない段階から好き勝手にさせるというのではなく、まずは基礎をしっかりと教えてから、というように育てられてきたように感じます。

なるほど。昨今は新人の頃から自由に取り組ませる反面、研修などにあまりコストを取らず、そうした土台作りに力を入れていない企業のお話もよく聞きますので、そうして点で、長期的な視野で本当の意味で自由な取り組みが出来るための人づくりをされている環境なんですね。 

 特にこの10年を見ても、だいぶ三谷産業は変化してきているとも思います。

どのような変化ですか? 

 私が入社した頃は、配属先で上司や先輩から教わることがほとんどでしたが、今は社会人としての基本的なところは人事がまず統括して研修をしています。それ以降については現場でOJTを通してしっかりと指導していく体制が組まれていますね。

現場で失敗してそこから学ぶという経験学習的な事も大切ではありますが、やはり基礎的な土台を身に付けてから現場に立てるかどうかというのは、その後の業務の質にも大きく影響してきますね。 

 今、社長は「どんどん失敗しなさい。それを受け入れるだけの懐はあるよ」という話をしています。これから入社してくる方は、研修を通して基礎的な土台を身に付けながら、失敗を恐れずにチャレンジもして、経験学習もしていってほしいと思いますし、そういう環境が用意されていると思います。





「基礎」と「コミュニケーション力」の大切さ・・・
「基礎」と「コミュニケーション力」の大切さ・・・
ところで、学生時代を振り返ってみて、あの経験が今の業務に活きているなと思う事はありますか? 

 やはり学生時代に学んだ基礎的な化学の知識です。これがあるおかげで、お客様が伝えたいことをしっかりとキャッチする事が出来ます。また、お客様の研究設備についても理解をした上でお話をすることが出来ているので、やはり大学で学んだ事というのが今の業務に活きているなと思いますね。

なるほど。逆に観点を変えて、先輩の目線でこういう学生なら自分の職場で活きるな、と思うのはどういった特性や経験を持った学生だと思いますか? 

 そうですね、本当に基本的な事になってしまって申し訳ないですが、業務に必要となる基礎的な知識は身に付けた上で、明るくコミュニケーションを取れる人が活きる現場だと思います。

たしかにコミュニケーション力というのは大事ですよね。Iさんの部署は何名の方が所属されているのですか? 

 6人ですね。うち1名がベトナム出身ですがとても日本語も上手で、上司はとても豪快な人ですね。

ベトナム出身の方もいらっしゃるんですか? 

 はい。ベトナム出身ですが日本の4年制大学を卒業していて、私より日本語が上手かもしれませんね(笑)とても活発で面白い方です。

6名ですと、チームとしての繋がりも太そうですね。 

 そうですね。今お話ししたベトナム出身の彼らともそうですが、仕事以外でも、日本語やベトナム語などについて教えあったり、日常的に良くやりとりをしています。そうした積極的なコミュニケーションがとれる事は大切だなと思いますね。

なるほど。そうした点も含めて、これから就職活動をされる学生に対して、何かアドバイスなど有りましたら伺えますか? 

 海外へ出かける経験を一つでも多く出来るといいかな、と思います。海外の方は本当に日本人と価値観が違うんですね。社会人になるとビジネスで海外の方と接する機会というのは増えます。遊びでもいいので、学生の内に様々な国の人と接する事で、日本の社会には無い考え方や捉え方があるという事を知っておくというのは大事になってくると思います。

ビジネス上のやり取りでも、そうした文化的な素地の違いを分かった上で出来るかどうかというのも、大きな違いになったりしますね。 

 また、社会人になると頻繁に海外へ遊びに行く時間の確保が難しくなります。そういう意味でもそうした経験が出来る機会というのは学生時代しかないと思うので、是非色々な国へ出かけて、その国の人や文化と接する経験をしてきてほしいと思います。

では最後の質問になりますが、Iさんの今後の目標など有りましたらお伺い出来ますか? 

 難しい質問ですね(笑)まずは新人が入ってきていますので、彼らをしっかりと育てていきたいというのが目下の目標です。あとは、工場がベトナムにありますので、そこを使ってお客様が実現したいことを一つでも多く形にしていきたい、ということも直近での目標ですね。

人の育成とお客様の期待に応えていくというのは大きなテーマですよね。 

 それ以外に夢としては、色々と開発品に携わっているので、自分が携わった素材を世に広められたらいいな、と思っています。例えば最近チョコレートに機能性素材の「GABA」というものが入っていて広く知られていると思いますが、自分が関わった素材があのように身近な製品として広く知られるようにできたら素晴らしいなと思いますね。

皆が知っている素材について「それはウチが開発したんだ」と言えることは、ある意味最高の達成感ですよね。 

 原料商社であり且つものづくりもしている企業というのは他にはなかなかないと思うので、これは三谷産業ならではの夢じゃないかと思います。

なるほど。
本日は貴重なお話を聞かせて頂きまして、ありがとうございました。


ありがとうございました。



【文責:(株)スプラウト 分須弘二】